ネオフォナードに宿る美を五感で味わってください!
ミニ6ナローというサイズは、「システム手帳パラダイス」に生息する文具のエロスを追求し続けるカッパである清水(沼の底から皆さんの足をつかんで離さない)の妄想から生まれました。縦が長い比率の手帳が大好きなので、ある日衝動的にミニ6のシステム手帳(それも本革、モデル名は言えません)の横幅を切り出しナイフを使ってすぱんと切って縦長にしてみました。横幅はマイクロ5のリフィルが収まるギリギリのサイズです。
そして手にしてみたら、フィット感が素晴らしいではありませんか。握りやすいし、ポケットでの出し入れもしやすいし、リフィルの面積も縦横比も(リフィルもミニ6の横幅をカットして自作しました)ちょうど良い。
この斬新な感動をシステム手帳沼にいる方々と細々でもいいので共有してみたい。とにかく作ってみよう。そして試行錯誤しながら生まれたのが1号モデル「カレン」です。カレンの革はルガード、同時に作ったリフィルの用紙はグラフィーロ。素材も作りも王道中の王道。だけどサイズは世界中の(たぶん)どこにもないユニークな変型です。
その後、クロコダイルやミリクロスなど多様な素材で新しいミニ6ナローを作り続け、沼の底から手を伸ばし続けてきました。そして遂に「ネオフィナード」のミニ6ナローが登場したのです。ネオフィナードは日本、いや世界が誇るシステム手帳ブランド、アシュフォードの超人気シリーズ。ミニ6ナローの販売はシステム手帳パラダイスだけですが、この人気シリーズの一員に加えていただいたことで、妄想が本当に現実のモノとなった喜びで胸がいっぱいです。
今回は、新しいミニ6ナローをじっくり観察しながらネオフィナードの魅力を独断と偏見で探ってみようと思います。
ネオフィナードのデザインには相反する2つの成分が含まれています。かわいいけれど、迫力がある。古風な佇まいなのに、斬新。手触りは硬質だけど、動きは柔軟……などです。このデザインの絶妙な背反が全体の美しさを作り出しているのです。
素材はキップレザーを使っています。キップは生まれて6か月から2年の子牛です。鞣した革はキメが細かく、軟らかい。ネオフィナードのジャケットはある程度の厚みがあるものの、開閉は軽快でほぼ180度にしなやかに開きます。でも表面は型押しの加工によりかちっと硬質に仕上がっています。この硬さは立ったままでの片手持ちでも安定した筆記ができる機能として役立っています。
タンニン鞣しのキップレザーは複雑な工程で丁寧に加工されています。最初に下染めをして、次にエンボス加工をする。さらに染色を加えて独特の色調を表現しています。2回めの染色は「頭バリ」と呼ばれる、ベースの色に対しトップを若干色濃くする加工をしています。全体は彩度が高く明るい色調なのに、不思議と落ち着きが感じられるのは少し焦がしたように見える頭バリの効果なのです。
リザード(トカゲ)調の型押しはとてもリアルで一見するとゴツゴツした雰囲気にも見えますが、手にするとキップレザー独特の柔らかさがある。触れることで視覚の印象が裏切られる。予想を裏切る感触は非日常的な驚きを生み出します。手帳を開くたびに理屈抜きにハッとさせられる。言葉にできない官能の魅力がネオフィナードの真骨頂だと思っています。また、細かい型押しは傷や汚れがつきにくい機能も生み出しています。
ネオフィナードは、カバーの縁であるコバの仕上げにもこだわっています。色を何度も塗り重ねる手法により、独特の艶となめらかな手触りを実現。リザードの型押しが生む複雑な模様の断面がぷっくりと膨らんで艶がある。このコントラストも眺めているだけで楽しい。
さらにコントラストをより強調しているのがジャケットの色です。今回のモデルは「わかば」です。爽やかなミントグリーンと内側のブラウンの対比が大人っぽいかわいらしさを生み出しています。
趣味文オリジナル手帳としては超珍しいベルト付きです。ベルトの形は先端方向が太くなっています。このベルトの形もネオフィナードならでは。コバ色との明快なコントラストが独特のフォルムを強調しています。実はこの形はホックを外す時に指かけがとてもしやすいように工夫されているのです。
リングとホックの金属パーツはすべてローズゴールド仕様に統一。表面のミントグリーン、内側のブラウンのどちらにも映える上品な赤みがかった光沢も魅力です。
ネオフィナード ミニ6ナローの縦の長さは約147ミリ。一般的な万年筆やボールペンは150ミリ前後であることが多いので、装着するとバランス良く収まります。
ホルダーには直径約15mmのペンまで収納することができます。可動式なので細身のペンではホルダーの長さを調節して細軸の直径にぴったり合わせることもできます。
またホルダーを全部収納してインデックスなどのアクセサリーリフィルを活用することもできます(今回はギリギリサイズではないので、横インデックスが使えます!)。
このようにネオフィナードの美は全体の細部に宿っています。ぜひあなたの手元に置いて、日々眺め、開いて、書いて、五感で魅力を体感してみてください。